読書2008_素敵本あみこ編

独断と偏見と愛と勇気で、今年読んで印象的だった本を一気に紹介します!
とにかく感想を書くのがド下手なのをお許しください。。



【ご注意ください】
今年読んで、というのは「今年出版された本」ではありません。今年どころか古典が出てきます。そして「今年新しく読んで」とは必ずしも限りません。再読のもの有り。



ではいきます。順序はなんとなくフィクションからノンフィクションへの流れ。




秘密の花園/バーネット


新訳が出ていたので再読。
もともとこのお話は大好きです。もう「秘密」「花園」「鍵」とかのキーワードはそれだけで小さかった頃のわたしの心をがっちり捉えて離しませんでした。
さて、この新訳では、丁寧で優しい日本語がイギリスの四季の移ろいを美しく描き出しており、それだけで一読の価値有り。
自然や人間の暗さ・陰鬱さもリアルに描写されており、それと明るさ・美しさのギャップが素晴らしい。
いわゆる「本当に素敵な物語」です。この秘密の花園の美しさを脳裏に描き、それにときめいていられる心をいつまでも持ち続けたいものです。




■ウィルフレッドの山登り (のばらの村のものがたり)/ジル・バークレム


のばらの村のものがたりも子どもの頃大好きだったシリーズ。
懐かしくて、集め始めてしまいましたが、お話の素敵さは言うまでもなく、挿絵が超絶的に素晴らしい。
子どもの頃は「かわいいな」くらいにしか思っていませんでしたが、大人になってから見るとその緻密さは息を呑むばかりです。
そしてその緻密さから、この物語世界に対する溢れんばかりの愛情がつたわってきます。
この挿絵が、確かにのばらの村をこの世に存在させているのでしょう。
言うまでもなく絵本ですが、こちらも「本当に素敵な物語」です。




■グラン・ヴァカンス-廃園の天使<1>/飛 浩隆


これはSFの枠に入るのかもしれませんが、ジャンルとか構わず、とにかく全力でお薦めします!!!!!!!
面白かった!!!
まず情景描写が美しすぎる。日本語が素敵。

鳴き砂の浜へ、硝子体(グラス・アイ)をひろいにいこう。
                   第一章 不在の夏 より抜粋

冒頭のこの一文だけで、わたしはがっつりこの世界にのめりこんでしまいました。
上手すぎる。不在の夏、とか、鳴き砂の浜、とか、硝子体とか、謎の言葉ばかり散りばめて、それがまたなんとも魅力的なんだから。
そして前半はまだわたしは「美しい」だけの物語なのかと思っていたら、後半はその予想を裏切り、見事なまでに残酷・悲惨・グロテスク。
そしてそれでもなお美しく、豊かで、確固たる世界観。
これは凄い。




■大聖堂/ケン・フォレット


こちらも全力でお薦め!!!!!!!エンターテイメント小説の傑作。ブラボーの一言。超面白い。超面白い。(大事なことなので2回言いました)
とにかくページをめくる手が止まらない。
上の「グラン・ヴァカンス」はおそらくやや読み手を選ぶかと思いますが、この大聖堂は万人にお薦め。
ちなみに上中下巻ありますが、わたしは間違えて下巻を2冊買ってしまいました笑。ので、今1冊余ってるの。欲しい方声かけてください笑。




オン・ザ・ロード/ジャック・ケルアック


再読です。
池澤夏樹個人編集 世界文学全集の記念すべき1冊目。池澤氏がこれを1冊目に持ってくるのは、ものすごく納得できるし、その選択を大絶賛したい。
とにかく素晴らしい本。自由とか、青春とか、そういうものの代名詞。それが切なくて、素晴らしくて、胸に突き刺さる。
この本の中で鳴り響いている音楽、あるいはこの本に描かれたものに影響されて生まれた音楽が、聞こえてくる。
ボブ・ディランとか、ドアーズとか、その他たくさんの音楽。ヒッピー・ジェネレーションやサイケデリック・ムーヴメント。というか全てのロックンロールはこの本に通じているといっても過言ではないのだ。
この本の中には、平坦な世界と、平坦の世界の上で煌めく生の輝きが見える。全力でお薦めします。




百年の孤独/ガルシア・マルケス


再読。あまり万人にはお薦めできない。笑
でも、まぎれもなく素晴らしい本。圧巻というか、なんというか。
現実と幻想、摩訶不思議、時間軸の交錯等々圧倒的な複雑さを持ち合わせた世界をなぞりながら、最後まで辿り着いたときの「ああ・・・・」感(なんだそれ)はたまりません。
ちなみに全く関係ないですが、焼酎「百年の孤独」も素晴らしくおいしいですよ。笑




■わたしを離さないで/カズオ・イシグロ


文庫本になったので再読。
何度読んでも素晴らしい。なんというか……独特の、泣きたいような深い読後感。
おだやかな雰囲気の中にひそむ強い哀しみが、体に染み渡ります。




テンペスト/池上永一


エンターテイメントの傑作。といっても「大聖堂」よりかなり軽い。ある意味B級。
池上氏の作品は、基本的にキャラクターが個性的すぎ、劇画調すぎ、なので、あまりそこに現実味や深みは無い。
が、ここまで疾走感あふれ、面白いストーリーを書けるのは素晴らしいです。




■華氏451度/レイ・ブラッドベリ


再読。わたしが言うまでもなくSFの名著です。
そしてあらてめて言うまでもなく、素晴らしく面白い。
ものすごく遠い世界のことのようで、実はここに描かれている世界は、わたしたちの日常の中に確かに存在している。
そんな風に感じられ、いつも味わい深く読んでいます。




■COSMOS/カール・セーガン



職場の方(物理の先生)から頂いた。
ものっすごく面白かったです。宇宙科学とか生命に対する愛情と情熱が言葉の端々から感じられます。
科学を通しての著者の哲学が明瞭に伝わってくる。
内容もとても分かりやすいので、ちょっとでも宇宙とかに興味の有る方には全力でお薦めします。




■数学で犯罪を解決する/キース・デブリ


[http://d.hatena.ne.jp/amicotower/20080715/p1:title=
前にもこのブログで紹介した]ので詳細は割愛。
面白いよ!!(日本語が貧しくて申し訳ない)




■世界を読みとく数学入門 日常に隠された「数」をめぐる冒険/小島寛之



そもそも著者のファンなので、おそらく今年は容疑者ケインズ (ピンポイント選書)を読むべきだったのでしょうが、何故か未読だったこっちを読んでしまいました。
ごめんなさい。
でも断言しておく、高校時代にこの本に出会っていたら、わたしは数学を好きになれていただろう。
ただそもそも「数学なんてもう無理!」と思っている女子高生(男子校生もだけど)が本屋で「数学」とタイトルに入っている本を手に取るまでには超えられない壁があるような気がするので、「高校時代にこの本に出会っていたら・・・」は意味の無い仮定かもしれない。
それでも、もし、「色んなことに興味はあるんだ。でも数学だけはどーしてもできない。断固拒否。でも科学とかはちょっとは興味ある。」という人がいたら、全力でこの本をお薦めします。




■波乱の時代/アラン・グリーンスパン

言わずと知れた前FRB議長グリーンスパンの本。彼が何を考えていたのかというある種の自分語りと、世界に転がる様々な問題のうち主要
(と判断された)ものについての考察や哲学、そして未来予測へ、というような構成。
グリーンスパンの各種の「判断」については多少は知ってはいるものの、その中身や根拠に触れたことは無かったし、彼がどんな視線で世界を見ているかはまるで知らなかったので、非常に興味深かったです。




■荒野へ/ジョン・クラカワー


映画も公開中(たぶん)。
裕福で各種の才能にも恵まれていた青年が、アラスカで餓死して死んだという実話を、丁寧に取材して執筆されたノンフィクション。
著者がとにかくこの亡くなった青年に敬意と愛情、そしてもしかして少しの憧れや羨望を持ってこの文章を書き上げたことがよくわかる。
わたしはこの本を読んで、「生き方」とか「選択肢」というものについてしばし考えをめぐらせた。
ちなみにある意味「オン・ザ・ロード」と非常に似たバックグラウンドというかテーマを持っている本なので、合わせて読むとおもしろいと思います。




■銃・病原菌・鉄/ジャレド・ダイアモンド


ごめんなさいまだ下巻読んで無いですがお薦めしてしまいます。
現在の人間の世界を捉える上で、この本は素晴らしく興味深いし面白い……!! 必読です。
どうして人間は、世界の各所で、異なる発展をとげたのか。現在の人間社会の強弱はどうして起きたのか。を、1万何千年前の時点まで遡り、そこから一気にくだるようにして説明。
これは凄い。









以上です!
それでは、次は新年のご挨拶になると思います。
みなさま、今年1年ありがとうございました。良いお年を!!